2006年01月22日

ゲームブック「モンスター誕生」の紹介及び攻略

 まずはじめにお断り。この文章内においてわからない単語が出て来たら検索等で各自調べて下さい(爆)。これは例えば「アドベンチャーゲームブック」という単語についていちいち解説まで書いていると一向に筆が進まないためです。どうかご了承をば。


 1980年代に流行った「アドベンチャーゲームブック」。その最高峰と言ってもいいのがスティーブ・ジャクソン(英)の「モンスター誕生」である。ジャクソンと言えばイアン・リビングストンと共に「火吹き山の魔法使い」を世に送り出し全世界にゲームブックブームを巻き起こした人物であり、特に彼の「ソーサリー」シリーズ(四部作)は鈴木直人氏の「ドルアーガの塔」シリーズ(三部作)と双璧をなす、ゲームブック界の原点にして頂点というべき作品である…ということは比較的よく知られている事実である(←知ってる人は知っているというレベルであることは言うまでもないが)。そのジャクソンが「これが僕の書く最後のゲームブックだよん」という触れ込みの元書いた作品が「モンスター誕生」なのである。

 ジャクソンと言えば、かなり難解なゲームブックを書く人という印象がある。「バルサスの要塞」や、「ソーサリー」第二巻「城塞都市カーレ」、第四巻「王たちの冠」等が相当難しいことは当時のファンなら骨身に凍みるほどよく覚えていることであると思われる。しかし、ジャクソン氏の著になるゲームブックで抜群に難しいのはなんといっても「地獄の館」である。そしてこの「地獄の館」が何故これほどまでに難しいゲームブックであるかについては、雑誌「ウォーロック」のコラムにて「主役(=自分)がファンタジー世界のヒーローではなく、かよわい一般人であるがゆえに施されたゲーム上の演出なのである」という非常に納得いく見解が示されていた(門倉氏のコラムだったかなぁ?確認次第追記しますです)。

 しかし、ジャクソンはファンタジーが舞台であるこの「モンスター誕生」を、「地獄の館」をも凌ぐほどの難解なゲームブックに仕立て上げた。これは前述の「ウォーロック」誌のように分析すれば「主人公(=自分)が、右も左もわからない本能のままに行動する一匹のモンスター」であるがゆえの演出であるわけだが、とにかくシャレにならないほど難しすぎる。普通にパラグラフ1から読み進めて行って解ける確立は相当低い(余談だが以前この作品についてネットで調べた時、何十回もチャレンジしてその都度「また死んだ…」という記録をいちいち漫画で書いている方がいた。何十回だったかなぁ?とにかくまぁそのくらい難しいわけです)。

 「ねぇ、ゲームブックで難しいってどういう意味なの? 指はさんで進めば正解ルートわかるんじゃないの?」という疑問に答えるべくだらだらと続く駄文はとりあえず後においておいて、ここでは先に「モンスター誕生」のブック面において少し触れておきたい。

 ゲームブックとは「ゲーム」+「ブック」である。どんなにゲーム部分が面白く出来ていても、ストーリーが魅力に満ちた、小説として優れた作品でなければそれは素晴らしいゲームブックであるとは言い切れない。この「モンスター誕生」は、そういう意味ではジャクソン作品の中で最も「ブック」部分がよく出来ている作品なのである。先程「モンスター誕生」はジャクソン最後のゲームブック作品であると書いたが、彼はその後ゲームブックではない普通の小説を書いてみようとしていたらしい。その後の作品については私は知らないが、少なくともこの「モンスター誕生」は「さぁこれから小説家になるぞ」というジャクソン氏の気合いがひしひしと伝わって来るかのような素晴らしいストーリーが展開される作品であり、ゲーム部分を排除して単純に小説として読んでみても充分楽しめる作品なのである。

 実は私が数年前からずっとこの作品の攻略記事を書きたかった理由はここにある。何度も言っているがこのゲームブックは難しすぎる。その難解さゆえにこのゲームブックは小説として読むことが出来ないのだ。こんなに秀逸なストーリーなのに! この本を所有している人(日本中にどれくらいいるのかは不明だけど…)が、永遠にこのゲームブックの全貌を知らぬままクリア出来ずに人生を過ごしているというこの悲しい現実をなんとかしたい、「絶対自力でクリアしてやるうっ」という人は別として「もうだめだ、降参!」という人に対して「この番号順に読んで行けば小説として楽しめますよ」という正解ルートを示しておきたい、と常日頃ずっと考えていたわけである。

 というわけで正解ルートはこの後、追記として折り畳んでおくわけだが(まぁ検索で来た人は見えちゃってるはずですけども)、著作権保護の意味も込めてストーリー的な部分には極力触れないでおく。要するに、この攻略ルートを見ても実際に本を所有していない人には全く意味の通じない、単なる数字の羅列にしか見えない、という体裁をとっているわけである。パラグラフの各所で使われている暗号については当初解読したものを載せるつもりでいたがそれも翻訳者の安田均氏の翻訳権にギリギリ触れるかもしれないので小心者の私はやめておくことにした(←2年くらい前に調べた時には見つからなかったんですが、先日ちょっと検索したら解読したものを載せてるサイトは既にあったんでここで同じことやる必要も無いかなと)。

 さて、再び「モンスター誕生」の難しさについて解説を続けてみる。ここから先は「どうしても自力で解きたい、でもとにかく難しすぎるからちょっとヒントを」というような人に有益な話かもしれない。

 ゲームブックというものを少しでもやったことがある人は、基本的にゲームブックは何度もくり返してやりさえすれば正解の道筋がわかるものだと知っている。雑に作られたゲームブックはそれこそ指を要所要所で挟んで行けば簡単にクリアできてしまったりする。しかしジャクソン氏のゲームブックは余りにも緻密かつ巧みに作られており、最終的に必ず死ぬことになっているにもかかわらず途中でなかなか死なないため一体どこで道を間違えたのか読者にはさっぱり分からないという構成になっている。しかしそれでも、前述の「ソーサリー」シリーズ等ではこの「モンスター誕生」ほど底意地が悪くはないので、何度もくり返すうちに「死なない(死ににくい)ルート」を見つけ出すことは可能である。この「モンスター誕生」の意地悪さのレベルは実はもう一段上で、どこで道を間違えたのか判別出来ないことに加え更に実は間違っている道であってもその道が正解であるかのように学習させられるというトリックが隠されている。これを、わかりやすく例によって説明してみる(つもりだが例えが下手すぎて全然わかりやすくないかもしんまい)。

 あるゲームブックの物語全般をストーリーの要所別にアルファベットに分けたとする。ここでいうアルファベットは一つのパラグラフ番号を意味するのではなく複数のパラグラフから成る一連のブロック単位である。そしてそのゲームブックのストーリーは「主人公(=読者)が城のドラキュラを倒す」ものであるとし、正解ルートはA→C→E→Jであるとしてみよう。

 ごく普通のゲームブックであればA→C→E→Jだけが唯一の正解ルートであるということはまずない。A→B→D→C→Eと回り道をしても、ABCDEFG…と進んでも、AとCとEできちんと必要な情報を集めたりアイテムを手に入れればJに行けるのが一般的だ。また、A→Bへ進む道とA→Cへ進む道がある場合にCを選んだらその後Bへはストーリー上進めなくなるというのも一般的なスタイルかもしれない。しかしこのゲームではCへ進んでからもBへ行くことが出来るうえ、Bに行ってしまったらその先どんな道をたどろうが絶対にバッドエンディングを迎えるように出来ている、とする。

 更に、Bブロックに「ドラキュラを倒すための十字架」というアイテムがあるとしよう。実はクリア条件として十字架はいらないのであるが、読者は普通ドラキュラを倒すためには十字架が必要だと思うはず。そしてその十字架はA→D→C→E→G→H→Bという道筋を辿ることで初めて得られるものだとしたらどうだろう。「この十字架を使いたい時には、ドラキュラに出会ったパラグラフ番号から52を引いたパラグラフへ進むべし」等といかにもそれらしいことが書かれていたらどうだろう。読者の脳内には「こういう道筋を辿ってこう進めばここで十字架が手に入る」とインプットされる。「実は十字架が無くてもクリア可能」だとか「そもそも十字架を取りに行った時点でクリアが不可能になる」ということには下手すると永遠に気がつかない。

 また、Aの段階で「丸太」というアイテムが手に入るとしよう。この丸太は実は「木の杭(くい)」として使用するもので、ドラキュラの胸に打ち込む「クリア必須アイテム」であるとしよう。しかし例えばその入手段階で「この丸太を使って敵と戦う場合攻撃力に+1が加算される、ただし3回使うと丸太は壊れてしまう」と書かれていると、読者はこれは単なる普通の武器だと思い込む。その後「伝説の剣(攻撃力+10)」というアイテムが苦労の末手に入ったりしちゃうと丸太は捨てて行くに違いない。また、ドラキュラの城に侵入するために堀を渡らねばならない、という場面があったとして、そこで丸太を使って筏を作ることができたとしよう。堀を渡る別の方法が困難であればあるほど「そうか、実は丸太はこのためのアイテムだったんだな」と読者は思い込む。「通常武器にも筏にも、とにかく丸太は最後まで絶対に使ってはいけない超重要アイテム」であるという意識は非常に芽生えにくい。

 A→B→C→D→E→F→G…とひたすら全てのエピソードを辿ってクリア直前のIブロックまで進むことができたりする場合はどうか。延々と長い通のりを辿り、アイテムを色々取ったあげく最後の最後あとちょっとのところでJに進めない。読者はこの時「実はAからCへ行ってEへ行けばJに行ける」とは思わず、「こんな惜しいところまで行けたんだから…」ということでA〜Gくらいまでの道順は正しいと思い込んでしまう。

 更に、サイコロ運に左右される場面というのも作ってみる。例えばCの段階で、サイコロ運が悪かった場合Bに行かされるのである。Bに行ったからといってもすぐその場でバッドエンドになるわけではないから、ここでのサイコロ運によって実は最終的にクリア不可への道を歩まされていたという事実には読者は全く気がつかない。

 と、まぁこんな感じでどこまでも陰険なゲームブックというのは製作可能である。ゲームブックはコンピュータゲームと違い内部構造を知ろうと思えば、つまり私のように(苦笑)パラグラフ番号1からストーリーを追いながらノートに書き出してフローチャートを作ったりすれば作者の製作意図を見抜くことも隠しアイテムを探すことも一応出来ることは出来る。だからどんなに頑張っても読者がその気になりさえすれば作者の意地悪などバレバレになってしまうわけだが、そこまでしない限り作者の意図がわからない(わかりにくい)ゲームブックというのも作ろうと思えば可能なわけだ。

 今までの話はあくまで例え話であって「モンスター誕生」がそのままここに書いたような構造になっているというわけではない。物語の序盤でそう簡単に「丸太」に相当するアイテムが手に入ったりしないし(笑)、A→C→E→Jなんていう短いストーリーでもない。重要アイテムや重要情報はかなりあるから相当あちこちに行かなければならない。だから「この部分がモンスター誕生でいうここに該当するのかな?」などと照らし合わせて考えるのは無意味だ。しかし、ジャクソン的な考え方というか「陰険なゲームブック」という点ではなかなか上手く例えることができた気がする(気がするだけだけど)。「この道筋は正しい」と一度思い込まされたせいでその後何百回チャレンジしても一向にクリアできない、というパターンに陥っている人がこの作品の読者には少なくないはずである(読者そのものがそもそも恐ろしく少ないはずだが)。どうしても自力で解きたい方は、一度自分の全行動を洗い直してみることをお薦めする…がホントに自力で解けた人いるのかなこれ…。


モンスター誕生
S. ジャクソン 安田 均
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シャムタンティの丘を越えて
シャムタンティの丘を越えて
スティーブ・ジャクソン

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Creature of Havoc by Steve Jackson

Copyright (C) 1986 Steve Jackson

1
(略)
399

308(西)に行けなければクリア不可。
148(東)に行ってしまった場合、次の419で戻るか、
その次の72で戻るか、その後170・389・(230)・165と進み344から戻るしかない。

308→205

160・86(ホビットの部屋)

292→446

(277→)101

234(168)

447→89→382(理性の煙)

51→320→281

306(金属製のペンダント)→115

166

358→257

237(ペンダント)

458

110(棍棒)→257へ戻る

309

280

342

258→13

147(言葉の煙)→283→137

144(204)

435(サイ男ルート)はダミーなので通らなくても可。通る場合は435・62・298

通らない場合は144・239・298

298

373

241→7(ハニカス)

200(ガス指輪)

360→138→15

436

49

457→122

154

396

100

327

192(情報)

450→263→209

(249)

(318)

293

66 or 276→161

104

323(ペチャクチャ獣)

220

56(エルフの粉)→405

300

213

233(ペンダント)

369(ダラマス)

90

140(祝福の指輪)

184(79は金山)

3

437

38

442(迷宮脱出)

123(ドリー)

324

95(コーブンの村)

274

291

438(グロッグ)

107

55

177

125(金貨)

252(ロシーナ)

11(ロープ)→386→130

190

307

255

267(215)

380

106(スカル藻)→18→315

145→287

235(幸運の薬と木箱)→92

141(真実の指輪)→423(オフディオタウルス)

127

5→366(ダーガ)

429→448

269

219(真実の指輪)

189

341→312

346

422

329→121→→199

133

417

28

361→460
posted by SeireiK at 20:40| Comment(5) | TrackBack(0) | ゲームブック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ゲームブックと来たかぁ(^^)
懐かしすぎる、その響き。
S. ジャクソンて人は知らないですけど、これ見たらちょっとやってみたくなりますね。
Posted by みっちー at 2006年01月22日 21:44
どもども。海外の方でも検索で来る可能性があると思い慌てて全角数字から半角数字に書き直してたところです^^;。

S・ジャクソンには外れが無いのでぜひぜひご一読を。ただし同姓同名同業のアメリカ人には気をつけて下さい(笑)。
当時の本は古本屋やオークションで手に入れるしかありませんが現在「創土社」という会社が名作だけを選りすぐって復刻中なので、そこから発売されているものを買っておけばまず間違いなく面白いと思います。

創土社
http://www.soudosha.com/

昔書いた駄文(参考)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/2614/1095428579/
Posted by SeireiK at 2006年01月22日 22:12
追記です。扶桑社からも復刻されたらしいです。こちらの方が本屋で手に入りやすいかもしれません(こっちの方が安いし:笑)。

http://www.fusosha.co.jp/senden/2005/049095.html

Posted by SeireiK at 2006年01月22日 22:49
はじめまして

小学生の時にS.ジャクソンのゲームブックに出会い

最後に購入したのが

この「モンスター誕生」でした。

当時小学生の自分にとって難しすぎ20年近く本棚に

しまってありました。

最近また挑戦してみようと手に取ったのですが

地下迷宮から出ることすら出来ませんでした。

そんな時にここへたどり着きました。

おかげさまで攻略することが出来ました。

改めて難易度の高さ、ストーリーの秀逸さが

分かりました。

本当にありがとうございました。
Posted by luci at 2009年11月17日 14:33
 わざわざコメント頂きどうもありがとうございます!
 そして積年の思いを遂げ、かの名作の(ストーリーとパラグラフ構造の)秀逸さを御体感されたこと、おめでとうございます!

 自力で解いてこそのゲームブックでもありますし、解きたい方には今ではかなり詳しい攻略サイトとかあります(たしかありました)ので、このように「そのものズバリ」の解答を載せてしまうのも味気ない(&需要がない)かなぁと思っていたんですが、それにしても難し過ぎますよねアレは(陰険というか…)。

 自分用の覚え書きの意味もありましたが、一人でもいいからまさにluciさんのような方の眼に止まってくれればいいという思いで書き残しておいたものなので、お役に立って本当に嬉しいです^^。
Posted by SeireiK at 2009年11月18日 01:07
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