ブラウザのウィンドウを複数開いてあちこちの中継サイトを同時に見てましたが、最終的にメインで見ていたのはアメリカ(たぶん)のUSStreamというところ。ストリーミング動画の脇にツイッターのチャットが表示されていて、そこでは視認出来ただけでも「英・日・中・韓・アラビア」の五カ国語が乱れ飛び、チャット画面が滝のようにスクロールされて流れていく、もの凄い状態でした(参加者10万人超えてました)。そのチャットの最中どなたかが「世界中で同時に10万人の人が同じイベントを、マスコミを介さずに享受している」ということの驚きと感慨をつぶやいておられましたが、見てるだけでもホントに貴重な体験でした(単純に10万人がアクセスしていてほとんどノートラブルでサーバーが落ちなかったのが凄い)。
そして、昨日のプレゼンでジョブズ氏の真の恐ろしさを目の当たりに出来たのは、会場でリアルタイムでプレゼンを見ていた人たちではなく、まさに我々のようにネット経由で中継を断片的に体感していた人たちでした。
iPad 用 iWork の値段が9.99ドルと述べられたとき、チャットでは iPad の値段が999ドルするのかと思った人々が続出して情報が錯綜しました。その後、それは iWork の値段だということが段々と10万人の間に浸透していき、ホッと胸を撫で下ろしつつじゃあいったいいくらなんだと誰もが期待と不安に胸を膨らませていた矢先、スクリーンに表示された999ドルの文字。「え・・・やっぱりそれマジの値段なの?」とまたまた(チャットで10万人が)大騒ぎ。iPadの内容のイマイチさもあって(苦笑)、10万人が失望しかけたところで999の文字が爆発し中から現れる499ドルの文字(!)。この瞬間はホントに鳥肌が立ちました。
振り返ってみると、今回のプレゼンでは値段についてひたすら引っ張ってました。それもこれもすべてこの演出のためだったかと納得。おそらく、この発表がネットのあちこちで中継されていることはもちろん、自分の発表の仕方一つで断片的に中継を見ている人が値段について混乱することも全部計算に入れた上での演出だったのでしょう。目の前の観客たちだけでなく、世界中の人たちを意識してのプレゼン。決して私の勘ぐり過ぎではないと思います。これだから彼は恐ろしい。
たしか、ジョブズは以前から「Appleはタブレットを出すつもりはない」と言っていたと思います。まぁ以前言っていたことと逆のことをあっさりやってのけるのもあの方の十八番ですけど(苦笑)、今回はあまりにも世間がうるさくて、本人としては乗り気じゃないのに「あーもうわかったわかった、はいはい、こんな感じの奴でいいんでしょ、iPhoneのでっかくなったようなやつ、はい、ご期待どおり出しましたよ、これで文句ないでしょ」みたいな本心だったと思うのですよ。でもそれはそれとして、商品を売るために最上のプレゼンを考えて実行に移す。その凄さ、恐ろしさを味わいたくて毎回プレゼンを楽しみにしているわけで、今回はそういう意味では大満足でした。 iPad がほぼ想像通り〜イマイチな代物だっただけに世間的には盛り上がりに欠けるようですが、そんなものにはハナから期待せず(爆)別の所に期待していた私としては大満足のイベントでした(笑)。
【関連する記事】