2010年04月14日

『地底獣国(ロストワールド)の殺人』読了

 きっかけはコレ↓でした。

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 講談社文庫の「ご自由にお取りください」の冊子、01年の6月分。京極夏彦氏と浜口乃理子さんの対談がお目当てで当時本屋さんでもらって来たものですが、数ヶ月前にコレをちょっとぱらぱらめくっていましたらばですね…

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 この『地底獣国の殺人』の紹介文が目に止まったんですよ。

 アララト山と恐竜???

 アララト山と言えばアルメニアとトルコの境にある、ノアの箱船伝説で有名な山です。で、知ってる人は知ってると思いますが、私はアルメニアという国に凄く興味があるんですね(恥ずかしい過去ですが一応貼っておきます)。また、トルコという国は親日で知られていてこれまた結構興味がある国なのです。私の「行ってみたい国」ダントツ一位は今のところパラオですが、いまだに二位はアルメニアで三位がトルコかロシアなのです。

 でもって、恐竜。恐竜と言えばご存知香奈チャン。香奈チャンと言えばです(爆)。

 だ、誰だこんな私のツボ突きまくりな本を書く人は…と思って作者を確認したら、


 あ、芦辺拓さんじゃないですかっ!!!


 芦辺拓さんと言えば『怪人対名探偵』を読んで大ファンになってしまった作家さん。「アララト山+恐竜」のツープラトン攻撃だけでも既に死に体なところへ芦辺さんですよ。こりゃもう「私が読まずして誰が読む!」という本です。

 ただ、芦辺氏の本ってあまり地元の本屋さんに置いてなかったりして見つけられずにいたんですが、数ヶ月前にブックオフで発見!!! しかもぱっとめくってみると「高天原」についての記述が冒頭に。高天原(たかまがはら)と言えば古事記に出て来る場所(天上界みたいなところ)なんですが、あろうことか私の先攻は上代文学。古事記は専門分野です。

 いったいどこまで私のツボを突けば気が済むのか芦辺氏はっ!

 こりゃもう買うしかありません。ちなみに400円でした。この前読んだ三冊は同じ店で買って全部で315円だったことを考えると妙な割高感がありますが(苦笑)、そもそも古本ではなく新刊でもなかなか巡り会えない芦辺氏の、しかも目指す本がピンポイントですからこれは避けては通れません。…まぁ本当は著者を応援する意味でも新刊で買いたかったんですが、自分の目に止まったのも何かの縁と思い古本で買いました。ちなみに買った時期はこの前読んだ三冊よりもっと前だったんですが、その三冊に浮気していて読むのが遅くなりました。

 読んだ感想ですが、やはり芦辺氏にハズレ無しっ! いやー面白かったです。「アララト・恐竜・高天原」をネタに推理小説を書く、こんなわけのわからん設定で、しっかり推理小説してました。スゴイ。

 『怪人対名探偵』でもそうでしたが、芦辺氏の作品は最後になるまで「筆者の意図」がなんだかよくわからないのですよね(いい意味で)。上手く言えませんが、作者がどこへ読者を導こうとしているのか、とか、どういう風に伏線を張ろうとしていて、どこへミスリーディングしようとしているのか、そういうことが感じられないのです。この本も最後の最後まで「ありきたりな冒険活劇小説」の様相を呈したまま話が進行するので「冒険活劇もの」の部分を楽しんで読めないとちょっとかったるい印象も受けるんですが、最後にはきっちり、ずどーんと立派な「探偵による犯人の指摘」があり、うぉおそういうことだったのか!と膝を打つ一級の推理小説になっています。

 また、『怪人対名探偵』が江戸川乱歩に対するオマージュだったのと同様この本も古き良き冒険小説へのオマージュとなっており、恐竜だの原生林だの謎の美女だの、はたまたスパイだのと色んな要素がてんこもり。それに加えてアララト山と高天原の関係だとか「邪馬台国はエジプトにあり」という奇説だとか、これでもかというお楽しみがいっぱい。しかもただ荒唐無稽なだけじゃなくトルコとアルメニアの確執だとか、恐竜の生態なんかもきちんと絡めながら話が展開するので、恐竜及び世界史の知識をある程度持っているとより一層楽しめます。

 このような本なので、ある程度読者を選ぶというか、万人が心から楽しめる本かというと難しいところもあるかもしれませんが、私にとっては期待に違わず最高に面白い本でございました。ごちそうさまでした(合掌)。


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posted by SeireiK at 00:12| Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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