2007年10月02日

『殺人鬼』読了

殺人鬼 (新潮文庫)殺人鬼 (新潮文庫)
綾辻 行人

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 これは面白かったです。一気に読み(読め)ました。これから読んでみようかなという人へいくつか注意点を兼ねた感想をば(でもあとがき読んだら実はかなり昔(ってか10年以上前!)に出版された本だったんで読んでる人はとっくに読んでそう…)。

 まず、スプラッター系がダメな人は絶対ダメです。京極夏彦の『魍魎の匣』程度のスプラッターぶりでもツライという方には絶対耐えられません。数年前に読んで今は記憶もおぼろげなんですが、『殺戮にいたる病』(我孫子武丸)もここまでドロドロではなかったかと思います。最初はこれ、要するにお決まり・お約束の(ともするとチープな)スプラッターホラー小説に綾辻行人節なトリックをミックスした話なんだなと思っていたんですが、いやはや、ちょっと綾辻氏を舐めてました。ホラー部分もむちゃくちゃしっかりしてます。恐怖を感じるかと言われると疑問ですが活字から顔を背けたくなる描写が多々。

 つまり言い換えますと、「お決まり・お約束の(しかも相当グロい)スプラッターホラー小説に綾辻行人節なトリックをミックスした話」であります。『殺戮〜』のように、「とにかくグロい描写を我慢して我慢して読み進んで行くと最後にあっと驚く展望が待っている」ということを期待して読んで行くわけですが、やっぱりそこら辺は綾辻氏、今まで読者が構築していた世界を最後にキッチリとひっくり返してくれます。

 今回悔しかったのは、そのトリックがわかりそうでやっぱりわからなかったこと。「一見ただのホラーとみせかけて何か仕掛けてあるんだろう」ってことはホラー部分がしっかりしていればしているほど、多分映像化できないような小説ならではの叙述トリックなんだろうなということは想像できるわけでして、この手のトリックは普段から綾辻さんの作品を読んでいる方(ってかそういう人は既にこの作品も読んでるに違いないんだけど)なら騙されないように意識して読むでしょうから見破れやすいはずなんですね。私は綾辻さんの作品はこれまでに三作(館シリーズの1〜3)しか読んでいませんが、それと上記の『殺戮〜」ですね、これである程度叙述トリックに対する免疫ができたというか、この四冊の中で最後に読んだ『水車館の殺人』では(あらかじめ気をつけて読むようにしたので)トリックを見破れるようにはなっていました。

 で、何が悔しいって今回「うわー完全にだまされたー」じゃなくて、そうやってトリックを予想しながら読んでいて「あぁ〜〜〜あとちょっとで気づいたのに〜」とか「いや、そうそう、そのあからさまなヒントには気づいたんだよ、おかしいと思ったんだよ」っていう、見破れてしかるべきだった、あとちょっとまで行っていたのにやっぱりわからなかった、っていうそれが非常に「してやられた」感じです。完敗なら清々しいんですけど、「どうしてそこまでわかっていながらオマエ(自分)はトリックが見破れんのだ」っていう情けなさ。ちょっとショック。『殺人鬼II』も合わせて購入したので次はがんばります(笑)。

 最後にこれから読む人にちょっとだけヒント。冒頭にも堂々と書かれていますから問題は(ネタバレでは)無いでしょう。「生き残るのは二人」です。それとこれも言っちゃっていいですかね。この作品は一応映像化しようと思えばできますね。一応ですが。…いや、トリック以前にグロ部分のせいで映像化は無理か?(苦笑)

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posted by SeireiK at 01:43| Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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