「打球」と「投球」という言葉(単語)は、それぞれ「打つ(という行為)+ボール」、「投げる(という行為)+ボール」という成り立ちである。共にある動作を表す動詞の後に名詞がくっついているカタチなのだが、何故か意味合いが違う。「打球」とは「(誰かが)打った球」、あるいは「(誰かに)打たれた球」を意味し、意味の重点は球の方にある。前の動詞が後ろの名詞を修飾する形容詞的な意味を持っているわけだ。
これに対し「投球」はというと、「(誰かが)投げた球」「(誰かに)投げられた球」という意味ではない。こちらは「(誰かが)球を投げること」であって、意味の重点は球の方ではなく投げるという動作の方にある。後ろの名詞が前の「投」を後置修飾(っていうんだっけ?)しているわけである。
一見すると同じカタチで組み合わされている言葉であるにも関わらず、「投球」の対義語は(私の考える限り多分)「打球」ではない。じゃあなんだろう…「打撃」? 球を打つことってなんていうんだっけ…? なにかあった気がするけどいかん、出てこねぇ(汗)。一方「打球」の(あくまで「投げる」と「打つ」を相対してみる、野球における)対義語は…つまり「投げられた球」を意味する言葉は…無い…よなぁ…?
ま、とにかく、一見すると同じカタチで組み合わされている言葉であるにも関わらず、その意味合いは違うわけである。普段何気なくこの言葉を使っているが、しかし例えば(日本語を母国語としていない)日本語学習者にとって、これは日本語を学ぶ上で少々厄介なハードルになるのではなかろうか。…などとつらつら考えては「面白ぇなぁ」と思う私なのでありますが、一向に面白くなかった方ごめんなさい。
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考えてみると「投球」「送球」「返球」というのは(「打球」もそうですが)結局野球にしか使わない単語なんですよね。球を投げる競技というのは他にもありますが、バスケやハンドボールではシュートやパスと言います。思うに、ベースボールが輸入された時に(ベースボールを野球と訳したように)ルールブック上の言葉を「投球」とか「打球」とかって訳したんじゃないかなと。
と、まぁこんな風に色々考えるのも楽しいですよね。賛同者がいてくれて嬉しいです(笑)。